この連載記事に関して

リアルタイム型研修会について
リアルタイム型研修会は、「Zoom」や「Google Meet」がオススメ!
Webを通じて研修会を実施する方法は、大きくリアルタイム型とオンデマンド型に分かれると思います。まず前者のリアルタイム型研修会の実施方法ですが、これは「Zoom」や「Google Meet」等のビデオ会議システムを用いるのがオススメです。山梨県栄養士会では、これまでリアルタイム型のWeb研修会を実施したことはありませんが、委員会の会議等で「Zoom」を積極的に活用しています。日本栄養士会が主催するWeb研修会でも「Zoom」が用いられています。
「Zoom」は基本無料で使用することができますが、無料アカウントではグループミーティングに40分の時間制限があるため、ミーティングの主催者は、「プロ」等の有料ライセンスを取得しておく必要があります(ミーティング参加者は、無料アカウントまたはアカウントなしで大丈夫です)。「プロ」ライセンスでは、ミーティング参加者が最大100名までのため、より大人数を対象としたミーティングを実施するには、別途費用が必要です。また、ミーティング形式ではなく、ウェビナー形式で研修会を実施する場合は、ウェビナー利用代が別途必要となります。詳しくはZoom Webサイトをご参照ください。

オンデマンド型研修会について
オンデマンド型研修会は、「YouTube」がオススメ……ではありません!
さて、この記事の本題となるのがこちら、オンデマンド型研修会の実施方法です。山梨県栄養士会では、対面で実施した研修会を動画で撮影しておき、後日、申込者のみに対して、ウェブサイト上で動画を視聴できるようにしています。最もシンプルな実施方法は、撮影した動画ファイルを各自のサーバーにアップロードする方法です。動画へのリンクを掲載したページにパスワードをかけ、そのパスワードを申込者のみに共有します。この方法はとても簡単ですが、動画ファイルは画像等と比べて容量が大きいため、この方法を繰り返すと、サーバー容量や動画の画質等にもよりますが、サーバーのディスクスペースがすぐに一杯になってしまう可能性があります。
その次に考えられるのが、「YouTube」を用いる方法です。この方法であれば、動画ファイル自体は「YouTube」のサーバーに存在するため、動画によってディスクスペースが圧迫されることはありません。何も設定をしないと、掲載した動画が全員に公開されてしまうので、「YouTube」に動画をアップロードした際に、動画のプライバシー設定を「限定公開」という形式にします。「限定公開」の動画は「YouTube」の各アカウントの動画一覧に表示されず、検索等でたどり着くこともできません。その動画のアドレス(URL)を知っているユーザーのみが視聴できるため、研修会動画のアドレスを申込者のみに共有することで、オンデマンド型研修会を実施することができます。
さて、一見上記の方法は適切なようにみえますし、この「限定公開」を利用してオンデマンド型研修会を実施している団体を複数以上確認しています。しかしながら、この方法を用いてオンデマンド型研修会を実施してはいけません!
「YouTube」の利用規約、確認したことはありますか?
さて、なぜ「YouTube」の「限定公開」のシステムを使用してオンデマンド型研修会を実施してはいけないのか、ということなのですが、この方法が、「YouTube」の利用規約違反となってしまう可能性があるからです。以下に「YouTube」の利用規約の一部を示しました。
YouTubeの利用規約(一部抜粋)
本サービスの利用には制限があり、以下の行為が禁止されています。
本サービスまたはコンテンツのいずれかの部分に対しても、アクセス、複製、ダウンロード、配信、送信、放送、展示、販売、ライセンス供与、改変、修正、またはその他の方法での使用を行うこと。ただし、(a)本サービスによって明示的に承認されている場合、または(b)YouTube および(適用される場合)各権利所持者が事前に書面で許可している場合を除きます。
2021年6月1日版
上に示した通り、「YouTube」のサービス・コンテンツについて、アクセス・販売といった方法での使用は認められていません。もし「YouTube」をオンデマンド型研修会に用いるとなると、研修会動画へのアクセスを有料で販売していることになるので、利用規約違反の可能性が高いと考えられます。なぜアクセス・販売を禁止しているのか、「YouTube」側は明確な回答を出していませんが、おそらく、この使われ方では「YouTube」側の収益にならないからだと思います。「YouTube」としては、課金ユーザーのみに限定動画を公開したいのであれば、「チャンネル メンバーシップ」という仕組みを使用してほしいのでしょう。
「YouTube」側は現状、この規約違反を大々的に取り締まっている様子はなく、前述のように、「YouTube」を用いてオンデマンド型研修会を行っている団体や、オンラインサロンでの利用を複数確認しています。そのため、何も問題はないかのようにも思えますが、利用規約違反の可能性が高い行為であることから、アカウントがBANされてしまう危険性もゼロではありませんし、何よりも、Webサービスの利用規約といった基本ルールを守ることのできない、コンプライアンスの意識が低い団体とみなされてしまうことで、社会的信用を失ってしまうリスクが大きいと思います。
オンデマンド型研修会を実施するには、「YouTube」ではなく「Vimeo」を使いましょう!
以上をふまえ、山梨県栄養士会では、「YouTube」ではなく「Vimeo」を用いてオンデマンド型研修会を実施しています。「Vimeo」は、「YouTube」とは異なり、有料プランを契約する必要があるのですが、動画のプライバシー設定を「YouTube」以上に細かく設定することができ、非常に便利です。これまでの内容は「WEBマスターの手帳」というサイトの「YouTubeで限定公開にした動画を有料会員だけ視聴できるようにするのは利用規約違反。」という記事を参考にさせてもらいました。ぜひ、オンデマンド型研修会の実施方法を検討されている方はご参照ください。

まとめ
「YouTube」はとても優良なWebサービスです。「YouTube」に感謝する意味でも、コンプライアンスの観点からも、利用規約の範囲内で「YouTube」を活用するべきだと思います。既に複数回記載しましたが、「YouTube」を用いてオンデマンド型研修会を実施している団体が複数あるため、早急な実施方法の見直しに、本記事が少しでもつながればと思います。
今後も、半年に1記事程度のペースで、全国の栄養士会Webサイトの更なる質向上につながるような情報を掲載していきます。本業次第で、更新ペースが大幅に遅れる可能性もありますが、何卒、よろしくお願いいたします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。不明な点等があれば、山梨県栄養士会までお問い合わせください。
文責:青木慎悟
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